わたしも、ぜんぶ同じでした。
自閉症の息子を育てています。今は9歳です。ひらがなに関しては、正直いちばん焦った分野かもしれません。何を買っても続かなくて、「このまま読めなかったらどうしよう」と思っていた時期があります。
読めるようになったのは、7歳ごろでした。周りより、だいぶゆっくりだったと思います。
きっかけは、教材を変えたことではありませんでした。環境が変わったことでした。
この記事では、うちで実際に効いたことと、効かなかったことを正直に書きます。
結論:家でやらない子は、家では覚えません
先に結論から書きます。
うちの息子は、家ではひらがなのプリントを一切やりませんでした。今もやりません。
でも、特別支援学校と放課後等デイサービスでは、ひらがなプリントをやります。同じ子が、同じプリントを、場所が違うだけでやるんです。

これに気づくまで、わたしはずっと「教材が合っていないんだ」と思っていました。だから次の教材を探して、また買って、またやらなくて、また落ち込んで——を繰り返していました。
そうではなかったんです。教材の問題ではなく、場所と人の問題でした。
家でプリントをやらせようとして、うまくいかなかった話
家でやらない理由は、あとから考えれば当たり前でした。
家は、息子にとって「ゆるむ場所」です。学校でずっと頑張って、帰ってきてやっと力を抜けるのが家。そこで「はい、じゃあプリントやろうね」と言われても、切り替わらないんですよね。
しかも相手はお母さんです。甘えられる相手だと分かっているから、嫌なことは全力で嫌がります。
わたしも人間なので、やってくれないとイライラします。「ちょっとだけでいいから」と言いながら、だんだん声が固くなる。息子はもっとやらなくなる。ひらがなの時間が、親子でいちばん険悪な時間になっていました。
これは、教材をいくら変えても解決しませんでした。
特別支援学校と放課後等デイで、何が変わったのか
息子が変わったのは、特別支援学校に入って、放課後等デイに通うようになってからです。
学校でもデイでも、ひらがなプリントの時間があります。そこでは息子はちゃんとやります。
理由はたぶん、こういうことだと思っています。
- 周りの子もやっている(自分だけじゃない)
- 先生が相手(甘えが通じない、けど怒られもしない)
- その時間はそれをやる、と決まっている(切り替えのスイッチがある)
家にはこの3つが全部ありません。だから家では無理だったんだと、今なら分かります。
「家庭学習が続かない」のは、親の頑張りが足りないからではありません。 家という場所の性質の問題です。
だからわたしは、家でやらせるのをやめました。そのかわり、学校とデイで見てもらう。家では別のことをする。役割を分けたら、親子の空気がずいぶん楽になりました。
家でやったのは「勉強」じゃなくて「好きなもの」でした
じゃあ家では何もしなかったのかというと、そうでもありません。
うちで効いたのは、息子が好きな図鑑と絵本でした。
勉強として見せたわけではありません。ただ好きだから見ている。乗り物でも動物でも、好きなページを何回も何回も開きます。
その中に、ひらがなが書いてあります。
「これなに?」と聞かれて答えているうちに、いつのまにか文字と音がつながっていきました。ドリルの「あ」は覚えなかったのに、好きな図鑑の中の「あ」は覚えたんです。
順番が逆だったんだと思います。ひらがなを覚えてから本を読むんじゃなくて、好きな本を見ているうちにひらがなを覚える。うちの子はそっちでした。

実際に反応がよかった絵本は、別の記事にまとめています。
家でやるなら、プリントはおすすめしません
ここは、はっきり書きたいところです。
家庭でひらがなを進めたいなら、プリントから入るのはおすすめしません。
うちの子は嫌がりました。そして、嫌がる子に「やろう」と言い続けるのは、親も子もお互いに疲れます。ひらがなが進まないことより、この疲れの方がしんどかったです。
プリントは「できるようになったこと」を練習する道具だと思います。まだ興味がない段階で出しても、ただの苦行になってしまいます。
かわりに、自分の名前から始めるのがいちばん良かった
じゃあ何から入るか。うちの場合の答えは、自分の名前でした。
理由はシンプルで、使う場面がいちばん多いからです。
- 持ち物にはぜんぶ名前が書いてある
- 上履き、コップ、カバン、体操服
- 学校でもデイでも、自分の名前を見つける場面が毎日ある
つまり、覚える理由がちゃんとあるんです。「あいうえお」を順番に覚えるのは、子どもにとって理由がありません。でも自分の名前は違います。自分のものを見分けるために必要な文字だからです。
うちの息子も、最初に読めるようになったのは自分の名前の文字でした。そこから「あ、これお友だちの名前にもある」と広がっていきました。全部読めるようになったのは7歳ごろです。
順番は「あいうえお」じゃなくてよかったんです。 これは早く知りたかったなと思います。
こどもちゃれんじは、どうだったか
通信教材についても正直に書きます。
うちでは、上の子でこどもちゃれんじを使っていました。 その中で使っていたのが「ひらがななぞりん」です。ペンでなぞってひらがなを練習する教材で、うちにあったのはこれでした。
上の子は、1歳から年長までこどもちゃれんじを続けました。しかも、自分からやっていました。
ここが、家庭学習でいちばん難しいところだと思うんです。親が「やろう」と言わないと始まらないものは、たいてい続きません。上の子の場合は、届いたら自分で開けて、自分でやっていました。だからわたしは何もしていません。
自閉症の下の子も、なぞりんには興味を持てました
ここが、いちばん書きたかったところです。
プリントはあれだけ嫌がった息子が、ひらがななぞりんには興味を持ちました。 6歳ごろのことです。
理由はたぶん2つあります。
ひとつは、やらされる感じがしないこと。紙とえんぴつを出されると「勉強」ですが、なぞりんは本人にとって遊びの延長だったんだと思います。
もうひとつが大きくて、線の練習から始められることです。
いきなり「あ」を書かせようとすると、うちの子には難しすぎました。でもなぞりんは、まっすぐな線、くねくねした線——そういうところから入れます。文字の前の段階がちゃんとあるんです。

発達がゆっくりな子を育てていると、これがどれだけありがたいか分かってもらえると思います。市販のドリルはたいてい、もう文字から始まります。「うちの子はまだそこじゃないんだけどな」と思いながらページを閉じたことが、何度もありました。
うちの子に効いたのはこの差でした。同じことをさせるにも、入り口が違うだけで反応が変わります。
もちろん、これでひらがなを全部覚えたわけではありません。覚えたのは学校とデイに通うようになってからです。ただ、「うちの子は文字そのものが嫌いなんだ」と思い込まずに済んだのは、なぞりんのおかげでした。
9年前のDVDを、今も下の子が見ています
コスパの話でいちばん驚いているのが、これです。
上の子が年長のときに届いたDVDを、9年経った今も下の子が見ています。
正直、教材ってその年だけのものだと思っていました。でもうちでは、上の子が終わったあとも下の子が見て、その下の子もまた見て、と何年も回っています。生活の中でためになることが自然に学べる内容なので、何年経っても中身が古くならないんですよね。
月々の受講費だけ見ると「高いかな」と思うこともありました。でも9年使えていると考えたら、ずいぶん安かったなと思います。
おもちゃの安全性と頑丈さは、想像以上に助かった
もうひとつ、こどもちゃれんじで良かったのがおもちゃの作りです。
- 長く気に入って使える(すぐ飽きるおもちゃとは違った)
- 舐めても大丈夫な素材で、誤飲の心配が少なかった
- 乱暴に扱っても壊れなかった
3つ目、地味に大きいです。
知的障害のある子を育てていると、おもちゃは投げられるし、噛まれるし、思ってもみない使い方をされます。うちでも壊れたおもちゃはたくさんあります。その中で、こどもちゃれんじのおもちゃは残りました。
そして何より、よく遊びました。 買ったのに数日で飽きるおもちゃって、ありますよね。あれがないんです。届いたおもちゃは、だいたい長く遊びます。うちにとってはコスパ最強でした。
「教材」としてより「安全で頑丈なおもちゃが毎月届くもの」として見ると、うちみたいな家庭には合っていたのかもしれません。
4人育てておもちゃは増えるのに、こどもちゃれんじは場所を取らない
これは4人育てている人にしか刺さらないかもしれませんが、書いておきます。
おもちゃは、とにかく増えます。
4人分となると、もう家がおもちゃに侵食されていきます。だからわたしは「大きいおもちゃ」にかなり慎重になりました。
その点、こどもちゃれんじのおもちゃは場所を取りません。毎月届くのに、置き場所に困った記憶がないんです。ここは地味に助かりました。
もうひとつ、電池がなくても遊べるブロック系がかなり重宝しました。
電池のおもちゃって、切れた瞬間にただの置物になりますよね。しかも4人いると、あちこちで電池が切れます。買いに行くのも交換するのも地味に手間です。その点ブロックは、電池がいらないうえに、年齢が違う子でも一緒に遊べます。上の子が作って、下の子が壊して、また作って——という遊び方が何年も続きました。
会員が行けるコンサートも、いい思い出になっています
もうひとつ、意外と良かったのが会員向けのコンサートです。
子どもが2〜3歳のころに、家族で行きました。
このくらいの年齢って、外に連れて行ける場所がけっこう限られますよね。じっとしていられないし、静かにもできない。特にうちみたいに人数が多いと、どこに行っても大変です。
でもコンサートは、小さい子が声を出しても、動いても大丈夫な場所でした。周りも同じくらいの子ばかりなので、誰も気にしません。あれは親としてすごく気が楽でした。
教材そのものとは関係ないんですが、いい思い出になっています。 今でもときどき、あのときの話をします。
正直なデメリット:向かない子もいます
いいことばかり書きたくないので、正直に書きます。
通信教材は、家でやらない子には向きません。 これに尽きます。
毎月届くのに、開けもしない月が出てきます。そうすると「もったいない」という気持ちが生まれて、それが「やらせなきゃ」というプレッシャーに変わります。うちが陥りかけたのはここでした。
なので、こういう考え方をおすすめします。
- 勉強させる目的なら、まず資料請求だけして中身を見る(無料です)
- おもちゃ目的なら、割り切って「安全で長く遊べるおもちゃ代」と考える
- 家でやらない子だと分かっているなら、無理に契約しない
うちの場合は、上の子は自分から最後まで続けました。下の子は、なぞりんやおもちゃは楽しんだけれど、ひらがなを覚えたのは学校とデイでした。同じ家のきょうだいでも、これだけ違います。
だから、他所の家の子と比べる必要は、もっとないと思います。「うちの子には何が合うか」だけ見ていれば十分です。
まとめ
- うちの子がひらがなを覚えたのは、教材ではなく環境が変わったから
- 家は「ゆるむ場所」。家でプリントをやらない子は、教材を変えても家ではやらない
- 学校・放課後等デイなど、やる場所を分けたら親子の空気が楽になった
- 家でやるならプリントはおすすめしない。嫌がる子に続けさせるのはお互いに疲れる
- 始めるなら自分の名前から。使う場面がいちばん多く、覚える理由がある
- 家では「勉強」ではなく、好きな図鑑と絵本から自然に覚えた
- こどもちゃれんじは上の子が1歳〜年長まで自分から継続。9年前のDVDを今も下の子が見ている
- プリントを嫌がった自閉症の子も、ひらがななぞりんには6歳ごろ興味を持てた。線の練習から始められるのが大きい
- おもちゃは安全・頑丈・場所を取らない。電池のいらないブロック系は特に重宝した
- 会員向けのコンサートも、声を出しても大丈夫な場所として気が楽だった
- 通信教材は、家でやらない子には向かない。まず資料請求で中身を見てから決めるのが安心
もし今、家でひらがなが進まなくて焦っているなら、それはお子さんのせいでも、あなたのせいでもないかもしれません。場所が合っていないだけ、ということが本当にあります。
うちは、家でやらせるのをやめてから進みました。
まずは、お子さんが好きな本を一冊、一緒に開くところからでも十分だと思います。
子供のチック症がだいぶ治った話


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