チック症の子に言ってしまった言葉4つ|言葉で返せない子だからこそ、後悔しています

日常

  • 何度も目をパチパチする
  • 咳払いが止まらない
  • 外出先で、周りの視線が気になる
  • つい「またやってる」と口に出してしまう

うちも、ぜんぶ通りました。

知的障害を伴う自閉症の息子を育てています。8歳のときにチックが出るようになって、目のパチパチと咳払いが続きました。

この記事は、そのときにわたしが言ってしまった言葉の記録です。「言ってはいけません」と教える記事ではありません。わたしが言ってしまって、あとから後悔したことを、そのまま書きます。

同じことを言ってしまった人が、少しだけ気が楽になればいいなと思っています。


その前に:言っても、なくなりません

先に、いちばん大事なことを書きます。

チックは、本人の意思とは関係なく出るものです。やろうと思って出しているわけではありません。

だから、こちらが何を言ってもまったく無意味でした。減りもしないし、止まりもしない。変わったのは、言われた側の気持ちだけです。

わたしはこれを、頭では分かっていました。それでも言ってしまいました。心配だったし、止めたかったからです。


① 「またやってるよ」

いちばん多く言ってしまった言葉です。

目のパチパチと咳払いが何度も続くと、どうしても目についてしまいます。気づかせるつもりで、軽く言ってしまう。

うちの子は、ほとんど無反応でした。

うちの子は言葉で気持ちを返すことが難しいので、言われても何も言い返しません。表情も変わらない。だからわたしは「聞こえていないのかな」と思っていた時期がありました。

でも、言っていることは大体分かっている子です。

返せないだけで、受け取ってはいる。これに気づいたとき、ぞっとしました。

もし想いを伝えられる子だったら、なおさら嫌だっただろうなと思います。「またやってるよ」と言われて、やめたくてもやめられなくて、それを説明することもできない。返せないぶん、全部そのまま溜まっていたのかもしれません。


② 「ストップストップ」

これは、外で言ってしまいました。

息子が8歳のとき、歯医者の待合室でのことです。咳払いが続いていて、近くにいたお年寄りがこちらをじっと見てきました。

風邪だと思われたのか。マスクをしろと思われたのか。それとも、ただうるさかったのか。分かりません。分からないから、よけいに焦りました。

それで、とっさに「ストップストップ」と言ってしまいました。

今ふり返ると、あのとき止めようとしていたのは息子のチックではなく、周りからの視線でした。息子のためというより、その場をおさめるためだったと思います。

もちろん、咳払いは止まりませんでした。止められるものではないので。


③ 「いつ治るの?」

これは、息子に言ったのではありません。夫との会話の中で出た言葉です。

いつか治ると言われているのは知っていました。それでも、毎日続いているとやっぱり不安になります。「いつ治るんだろうね」——その一言を、出さずにいられませんでした。

問題は、息子がいる前で言ってしまったことです。

自分たちの会話だから大丈夫、と思っていました。でも、言っていることは分かる子です。自分の話をされていることも、たぶん伝わっていたと思います。

親同士で不安を吐き出すのは必要なことです。ただ、場所は選ぶべきでした。


④ きょうだいの「うるさい」

これはわたしの言葉ではありませんが、家の中で起きたことなので書いておきます。

うちには子どもが4人います。下の子たちはまだチック症のことが理解できないので、咳払いが続くと「うるさい」と言うことがありました。

これは、その子たちが悪いわけではありません。理由が分からなければ、そう感じるのは自然です。

ただ、言われた本人にとっては、親に言われるのと同じかそれ以上にこたえたと思います。毎日いっしょにいるきょうだいなので。

なので、下の子たちにはこう伝えました。

「この子がやりたくてやっとるわけじゃないから、なるべく反応しんといてね」

「やめさせて」でも「気にしないであげて」でもなく、反応しないでほしいと頼みました。指摘されること自体がしんどいので、そこを止めたかったんです。

難しい説明はしていません。それでも、子どもたちはちゃんと分かってくれました。

きょうだいへの説明は、思っているより早めにした方がいいというのが、うちの反省です。理由が分かるだけで、家の中の空気が変わりました。


じゃあ、何と言えばよかったのか

正直に言うと、何も言わないのがいちばん良かったと思っています。

チックは、意識させるほど出やすくなると言われています。うちの実感としても、注目されている場面ほど増えていました。

だから、こういう対応に変えました。

  • 気づいても、口に出さない
  • チックが出ていない時間の話をする(好きなものの話とか)
  • どうしても外の目が気になるときは、その場から離れる
  • きょうだいには、先に説明しておく

そして、いちばん効いたのは「この子が悪いわけじゃない」と自分に言い聞かせることでした。焦りが減ると、余計な一言も減ります。


そのあと、うちはどうなったか

結論から言うと、だいぶ治まりました。

きっかけは、薬でも治療でもありません。わたしが「がんばらせること」をやめたことでした。その経緯は別の記事に書いています。

【内部リンク】子どものチック症、だいぶ治まりました【完結編】

チックが出ている最中は、いつ終わるのか分からなくて不安でした。でも、多くの場合は時間とともに落ち着いていきます。


まとめ

  • チックは本人の意思で出るものではないので、何を言っても止まらない
  • うちが言ってしまったのは「またやってるよ」「ストップストップ」「いつ治るの?」の3つ
  • きょうだいの「うるさい」も起きる。「やりたくてやっとるわけじゃないから、なるべく反応しんといてね」と早めに伝えると家の空気が変わる
  • 言葉で返せない子でも、言われていることは分かっている
  • いちばん良かった対応は「何も言わないこと

もし今、あなたがすでに言ってしまっていて、後悔しているなら——わたしも同じです。

気づいたところからで、

十分間に合います。うちはそうでした。


【追記】

そのあと、うちはどうなったか

まっすぐには良くなりませんでした。時間の流れごと書いておきます。

一度は落ち着きました

上に書いたような対応に変えてから、しばらくして症状は落ち着きました。このときわたしは「もう大丈夫」と思っていました。

でも、また悪化しました

そのあと、また悪くなりました。

首すくめと咳払いが、食事のたびに出るようになりました。以前よりひどい状態です。

わたしも動きました。仕事を減らして、デイの日数を調整して、環境を変えてみました。それでも、そのときは改善が見られませんでした。

「一度落ち着いたら大丈夫」ではないんだなと、改めて思い知らされました。

チックには波があると言われています。でも実際に自分の子で起きると、頭で分かっていても不安になります。もし今、同じように悪化している方がいたら——あなただけじゃないです。

今は、少し出るくらいで落ち着いています

その波を越えて、今は落ち着いています。

ただ、完全になくなったわけではありません。 今も少しは出ます。ゼロにはなっていないけれど、日常が回らなくなるようなことはない——そのくらいの状態です。

「治った」と言い切れないのが正直なところです。でも、食事のたびに首すくめが出ていたあの時期を思えば、ずいぶん楽になりました。

きっかけは薬でも治療でもなく、わたしが「がんばらせること」をやめたことでした。その経緯は別の記事に書いています。良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ落ち着いていく。 うちはそういう経過でした。

きれいに「治りました」と言えたらよかったんですが、実際はこんな感じです。でも今しんどい時期にいる方には、そのままの形を知ってもらった方がいいと思って書いています。

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